管領職を解任され領国讃岐に帰還するに臨んで詠ず。
人生五十愧無功 花木春過夏已中滿室蒼蠅掃難去 起尋禪榻臥清風
○△●●●○○ ○●○△●●△●●△○●△● ●○△●●○△
人生(じんせい)五十(ごじゅう)功(こう)無きを愧(は)づ、花木(かぼく)春(はる)過(す)ぎて夏(なつ)已(すで)に中(なかば)なり。満室(まんしつ)の蒼蠅(そうよう)掃(はら)へども去(さ)り難(がた)し、起(た)ちて禅榻(ぜんとう)を尋(たづ)ね清風(せいふう)に臥(が)せん。
年五十となって何の功もないのは恥ずかしいが、もう花咲く春も過ぎて夏真っ盛りとなってしまった。部屋の青バエがうるさく飛んで少しも已む気配がないから、さっさと禅室を尋ねて清らかな風に吹かれにいこう。
細川頼之は政敵の離間工作によって義満から罷免され失脚、一族を率いて領国の讃岐へ帰り、剃髪して常文(じょうぶん)と名を改めた(康暦の政変)。
Page Top