新年正月、即興に詠う。
淑氣未融春尚遲 霜辛雪苦豈言詩此情愧被東風咲 吟斷江南梅一枝
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淑気(しゅくき)未(いま)だ融(とほ)らず春(はる)尚(な)ほ遅(おそ)し、霜辛(そうしん)雪苦(せつく)豈(あ)に詩(し)を言(い)はんや。此(こ)の情(じょう)愧(はづ)らくは東風(とうふう)に咲(わら)はれんことを、吟断(ぎんだん)す江南(こうなん)梅(うめ)一枝(いっし)。
穏やかな陽気には程遠く春の訪れは何時になろう、この厳しい霜雪にどうして詩を作る気になれようか。そんな野暮な心情は春風に笑われてしまうから、先ずは江南一枝の梅でも詠おうか。
江南梅一枝は陸凱(りくがい)の故事。 南北朝時代の宋の陸凱は范曄(はんよう)と友であった。 江南に住んでいた頃、北地の長安に住む范曄へ梅一枝に詩を添えて送った。 折花逢駅使、寄与隴頭人。 江南無所有、聊贈一枝春。 一枝の梅を手折って飛脚に託し、隴頭(ろうとう)に住む貴方にお届けします。 江南には何も送るものがありませんから、ささやかながら一足早く訪れた一枝の春を贈ります。
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