- 備考
- #1大車は平地任載の車を謂ふ。
輗(げい)は轅端(えんたん)の横木、軛(くびき)を縛りて以て牛を駕(が)する者。
小車は田車、兵車、乗車を謂ふ。
軏(げつ)は轅端の上曲がり、衡(くびき)を鉤(か)けて以て馬を駕する者。
言ふは、人にして信無きは、猶ほ車に此の二者の無きがごとし。
豈に行(や)ることを得可けんや。(伊藤仁斎「論語古義」) - #2信とは人道の本、人にして信無くんば則ち以て一日も天地の間に立つ可からず。
猶ほ大車の輗(げい)無く、小車の軏(げつ)無くして以て行(や)る可からざるがごときなり。
君君たらず、臣臣たらず、父父たらず、子子たらざるは、一に皆な此に由る。
夫子其の最も見易き所の者に就きて、以て人の必ず信無かる可からざるを喩へたるなり。(伊藤仁斎「論語古義」)