一
- 一錠
イチヂヤウ
銀のいたがね、又は墨など一つ。
- 一丈紅
イチヂヤウコウ
臺灣語にて蜀葵アフヒの稱。
- 一場春夢
イヂヂヤウノシユンム
ぼんやりとしてはかなき義。
人閒の盛衰は、春夜の夢の如くはかなきに喩ふ。
- 一陣
イチヂン
ひとしきり。
- 一塵
イチヂン
すこしのちり。
- 一陣寒
イチヂンサムシ
一としきり寒い。
- 一塵不染
イチヂンフセン
塵は物欲に喩ふ、物欲に染まざるは、六根淸淨の義。後世純潔なる者の形容とす、境地の淸淨、操守の廉潔、文字の粹美なるなどに皆いふ。
- 一條
イチデウ
一件の事。
- 一帖
イチデフ
書籍、紙類のひとをり。
藥一劑をいふ。
- 一怒
イチド
ひとたび怒る。
- 一度
イチド
一囘、又一時。
- 一同
イチドウ
みな、いづれも。=一統。
- 一動一靜
イチドウイツセイ
或は動き或は靜か。
- 一頓挫
イチトンザ
ひとくじけ。頓挫を見よ。
- 一入
イチニフ
一たび中へ入る。
ヒトシホ
染物を一度染汁に浸すときは其の度毎に色を增すが故にひときはの義とす。=一段・一層。
- 一如
イチニヨ
純一無雜にして異ることなきをいふ、眞如の理。
- 一任
イチニン
さもあらばあれ、ままよ。=任他・遮莫。
ひとたび官に任ず(宋史、選擧志)
- 一人
イチニン
人ひとり。
イチジン
天子を稱す。
イチノヒト
攝政關白の異稱。
- 一人傳虛萬人傳實
- 一人傳㆑虛萬人傳㆑實
イチニンキヨヲツタフレババンニンジツヲツタフ
一犬吠形百犬吠聲を見よ。
- 一人知儉一家富
- 一人知㆑儉一家富
イチニンケンヲシレバイツカトム
家長たる者、節儉を知れば、其の家富む。
- 一人當千
イチニンタウセン
非常に大力ある者をいふ。
武勇の特にすぐれたるをいふ。
- 一人敵
イチニンノテキ
劍術をいふ。
- 一念
イチネン
ひとすぢのおもひ。=一心。
ひとつのこころ。
- 一年草
イチネンサウ
一年毎に新芽を出す草。
- 一念三千
イチネンサンゼン
人の一念中には、三千の法界を具へたりとの意(正觀)
- 一年三百六十日
イチネンサンビヤクロクジフジツ
一年中をいふ。
- 一年之計莫如樹穀
- 一年之計莫㆑如㆑樹㆑穀
イチネンノケイハコクヲウウルニシクハナシ
一年中の生計を謀るには、五穀を植うるに若くことなき義。
- 一年之計在于春
- 一年之計在㆓于春㆒
イチネンノケイハハルニアリ
事は豫め計畫し置くを要す、されば一年中の事は、春の初に方針を定むべしとの義。
- 一年將盡夜、萬里未歸人
- 一年將㆑盡夜、萬里未㆑歸人
イチネンマサニツキントスルヨルバンリイマダカヘラザルヒト
戴叔倫、除夜宿㆓石頭驛㆒詩「旅館誰相問、寒燈獨可㆑親、一年將㆑盡夜、萬里未㆑歸人」
- 一年虛渡秋
- 一年虛渡㆑秋
イチネンムナシクアキヲワタル
陰曆の八月十五夜(中秋)に陰りて月なきをいふ。
- 一能
イチノウ
一つの藝能。「一技一能」
- 一上
イチノカミ
左大臣の異稱、太政官の事を總理せし故にいふ、一ノ大臣イチノオトドともいふ。
- 一后
イチノキサキ
皇后の異稱。
- 一宮
イチノミヤ
第一皇子、又、諸國にて第一の格式ある神社。
- 一倍
イチバイ
二が四となり、四が八となる如きをいふ。
- 一八
イチハツ
草花の名、漢名、鳶尾草。
- 一番
イチバン
ひとたび、一度。
一枚に同じ。
- 一番槍
イチバンヤリ
人より先に敵陣に槍を入れる。
- 一部
イチブ
全體中の或る部分、一部分。
書籍の一組。
ひとくみの音樂。
- 一分銀
イチブギン
德川時代の銀貨幣の一、今の二十五錢に當る。
- 一部始終
イチブシジユウ
事の始より終まで、一伍一什。
- 一物
イチブツ
ひとつのもの。
一事、又、一件の義。
イチモツ
一つのたくらみ、隱謀。
- 一佛淨土
イチブツジヤウド
同じ佛界に生れあふ。
- 一物不知君子之恥
- 一物不㆑知君子之恥
イチブツシラザルハクンシノハヂ
一つの物を知らざるも、君子は之をはづ、故に學を勉むべし。
- 一分
イチブン
其の身一人丈の分際。
- 一別
イチベツ
一たびわかれる。
- 一瞥
イチベツ
ちらりと見る。
- 一別三春
イチベツサンシユン
一度別れて三年を經る。
- 一瓣
イチベン
ひとつのはなびら。
果實の肉の幾つにも分れたる一片。
- 一瓣香
イチベンカウ
ひとつまみの香を燒く義、人を敬ふにいふ。