三
- 三遷
サンセン
周の孟軻の母が軻を敎育せし故事、初め其の舍、墓地に近し、軻少くして遊を好み墓閒の事をなす、母乃ち市の傍に遷る、軻嬉戲するに乃ち賈人衒賣のまねす、また學宮の傍に徙る、其の嬉戲するや、乃ち俎豆を設け、揖讓進退す、母曰く、此れ眞に吾が子を處くべしと、遂に居る(列女傳)=三徙。
- 三戰三走
サンセンサンソウ
三たび戰ひて三たびにげる。=三戰三北。
- 三千大千世界
サンゼンダイセンセカイ
廣大無邊なる世界の稱、一千國土を小千世界と名づけ、小千世界千を積みて中千世界と名づけ、中千世界千を積みて大千世界と名づく、三たび千を積むが故に三千大千世界と名づく。=三千世界。
- 三尖瓣
サンセンベン
心臟の右心耳と左心室との閒にありて三片より成る瓣シタ心耳・心室の開閉を司る。
- 三蘇
サンソ
宋の蘇洵(老泉)と其の子軾(東坡)蘇轍(潁濱)と。
- 三楚
サンソ
楚を西楚(淮北郡・陳・汝南郡)東楚(彭城以東、東海・吳・廣陵)南楚(衡山・九江・江南・豫章・長沙)の三つに分てる稱(史、貨殖傳)
- 三層樓
サンソウロウ
三階建のたかどの。
- 三族
サンゾク
三つの親族、父母・兄弟・妻子(史、秦紀、注)父族・母族・妻族(漢書注)父・子・孫周禮、小宗伯、注)父の昆弟・己の昆弟・子の昆弟(儀禮、注)
- 三屬
サンゾク
三族に同じ。
甲札ヨロヒノサネの數。
- 三足烏
サンゾクウ
三本足のからす。
- 三族之罪
サンゾクノツミ
三族を連坐せしむる罪。
- 三蘇熟喫羊肉
- 三蘇熟喫㆓羊肉㆒
サンソジユクシテヤウニクヲキツス
宋の時、三蘇の文章大いに行はる、故に其の文を熟讀すれば、試驗に及第し、羊肉を喫し得る身分となるをいふ。老學庵筆記には三蘇を蘇文に作る。
- 三尊
サンゾン
阿彌陀如來と、觀音・勢至の二菩薩と。
君・父・師をいふ。三光を見よ。
- 三損友
サンソンイウ
己に損ある三種の友。三益友(二四頁四段)參看。
- 三多
サンタ
文章を學ぶに三つの多きを要する義。看多は多く讀む、做多は多く作る、商量多は多く工夫する。
- 三臺
サンダイ
尙書(中臺)御史(憲臺)謁者(外臺)(後漢書、袁紹傳、注)
- 三台
サンタイ
星の名、一名天柱、上台星は太尉に、中台星は司徒に、下台星は司空に當て三公の義とす。=三能サンタイ
- 三諦
サンタイ
諸法皆空と觀ずる空諦、諸法皆有と觀ずる假諦、空にあらず有にあらずと觀ずる中諦の三をいふ、三者は一にして三、三にして一、之を三諦卽是といふ(大藏法數)
- 三代
サンダイ
夏・殷・周、史記に三代世表あり。
- 三體
サンタイ
書の三様、眞・行・草の稱(唐書、柳公權傳)
古文・秦篆・漢隸(紺珠)
- 三代格式
サンダイキヤクシキ
書名、弘仁格式・貞觀格式・延喜格式の稱。
- 三體詩
サンタイシ
次條を見よ(三體唐詩)。
- 三代實錄
サンダイジツロク
六國史の一、菅原道眞等勅を奉じて撰す、天安二年八月より仁和三年八月までの史事を記す。
- 三代集
サンダイシフ
古今和歌集・後撰和歌集・拾遺和歌集。=三代和歌集。
- 三大節
サンダイセツ
三つの大いなる祝祭日、一月三日の元始祭(神器及び歷代の皇靈をまつる)二月十一日の紀元節・天長節(今上御誕辰の祝)
- 三體唐詩
サンタイタウシ
六卷、俗に三體詩と稱す、宋の周弼撰す、唐詩の七言絶句・七言律・五言律を選輯す。
- 三島
サンタウ
仙人の住むといふ三つの海島。三神山を見よ。=三壺。
- 三到
サンタウ
讀書に必要の三事、眼到ると口到ると心到るとをいふ、到とは專一の義、朱子の語。
- 三刀之夢
サンタウノユメ
三刀は州の字の隱語、王濬の故事に因りて官吏の榮轉するにいふ、晉の王濬夜夢みる、三刀を臥屋の梁上に懸け、須臾にして又一刀を益すと、驚き覺めて意甚だ之を惡む、主簿李毅、賀して曰く、三刀は州の字、又一を益すは明府それ益州に臨まんかと、賊益州の刺史を殺すに及び、果して濬を遷して益州の刺史と爲す(晉書、王濬傳)
- 三達尊
サンタツソン
朝廷にては爵位を尊び、郷黨にては齒ヨハヒを尊び、世の中に出ては德を尊ぶをいふ、達は通なり、天下を通じて尊ぶべき義。
- 三達德
サンタツトク
智・仁・勇。
- 三端
サンタン
筆端・鋒端・舌端、君子の宜しく避くべきもの。
- 三段論法
サンダンロンパフ
三つの命題卽ち第一前提・第二前提より第三の斷案を引き出す論理の方式。
- 三長
サンチヤウ
歷史家の備ふべき三つの長所、才智と、學問と、識見と。
- 三蟲
サンチユウ
人の腹中にありといふ三種の蟲。三尸蟲(二八頁四段)を見よ。
- 三徴七辟
サンチヨウシチヘキ
たびたび召し出さるる義、徴は天子の御召、辟は州郡の召。
- 三途
サンヅ
三惡道、卽ち火途(地獄)血途(畜生)刀途(餓鬼)をいふ。=三塗。
- 三塗
サンヅ
三途を見よ。
- 三通
サンツウ
制度に關する三種の書、通典二百卷(唐、杜佑撰)通志二百卷(宋、鄭樵撰)通考三百四十八卷(元、馬端臨撰)三書皆續篇あり。
- 三途川
サンヅノカハ
人死して初七日、閻魔の庁に至る途中に在る川の名、川に三つの瀨あり、緩急を異にす、生前作業の善惡によりて、渡る所を分つ、川の岸に二鬼あり、懸衣翁、奪衣婆といふ、亡者の著衣を奪ひて樹に懸くといふ。
- 三朝
サンテウ
正月元日をいふ、歲と月と日との朝の意。=三元・三始。
- 三兆
サンテウ
三つの卜形、顓頊の玉兆・堯帝の瓦兆・周の原兆。
- 三鳥
サンテウ
古今集中の祕傳とせる三種の鳥、呼子鳥・稻負鳥・都鳥。
- 三天
サンテン
摩利支天マリシテン大黑天ダイコクテン辨財天ベンザイテン
- 三傳
サンデン
春秋の三種の傳、左氏傳・公羊傳・穀梁傳をいふ。
- 三都
サント
紺珠「京兆(西都)河南(東都)太原(北都)」
魯にては費(季氏)郈(叔孫氏)成(孟氏)
宋にては開封・歸德・河南。
東京・京都・大阪。=三府。
- 三吐
サント
人君たる者の人に接見するに力むるをいふ。
- 三偸
サントウ
詩の三偸、語を偸み、意を偸み、勢を偸む(詩苑類抄)
- 三冬
サントウ
冬の三ヶ月。孟冬(陰曆十月)仲冬(十一月)季冬(十二月)の稱。
- 三等親
サントウシン
第三等に當る親族、曾祖父・曾祖母・伯姉・叔姉・夫の甥・從父兄弟姉妹・夫の祖父・夫の祖母・夫の伯叔姑・繼父・甥の妻。
- 補足
- 廳