孫敬閉戸(巻之一)
原文


楚國先賢傳。
孫敬字文寳。常閉㆑戸讀㆑書。睡則以㆑繩繋㆑頸。懸㆓之梁上㆒。
嘗入㆑市。
市人見㆑之。皆曰。
閉戸先生來也。
辟命不㆑至。
書き下し文

楚国先賢伝(そこくせんけんでん)にいふ。
孫敬(そんけい)、字は文寳(ぶんぽう)、常に戸を閉じて書を読み、睡(すい)さば則ち縄を以て頸(くび)に繋(か )け、之を梁上(りょうじょう)に懸(か)く。
嘗(かつ)て市(いち)に入る。
市人(しじん)之を見て、皆な曰く、
閉戸(へいこ)先生来(きた)る、と。
辟命(へきめい)せらるるも至らず。
現代語訳
楚国先賢伝(そこくせんけんでん)にいう。
孫敬(そんけい)、字は文寳(ぶんぽう)、常に戸を閉じて書物を読み、眠くなると縄を首にくくり、これをはりの上#1にかけた。
かつて市場に出かけた。
市場の人々はこれを見て、皆な言った。
閉戸(へいこ)先生が来たぞ、と。
官に招かれたが応じることはなかった。