漁夫圖(伊藤仁斎)

漁夫の図に託して、隠者の志懐を詠ず。

分類
  • 1.漢詩
漢詩形式
  • 1.七言絶句

原文↑↑↑

兩鬢皤皤霜雪  蘆洲水淺吐花
好將整頓乾坤手  獨向江湖理釣

  
  

書き下し文↑↑

両鬢(りょうびん)皤皤(はは)霜雪(そうせつ)(た)る、蘆洲(ろしゅう)(みず)(あさ)(はな)(は)くの(とき)
(よ)乾坤(けんこん)整頓(せいとん)するの(て)(も)つて、(ひと)江湖(こうこ)(むか)つて釣絲(ちょうし)(おさ)む。#1

現代語訳↑

漁翁の髭(ひげ)は霜雪の如くに白く垂れ、蘆(あし)の茂る中州は水も浅くなり花が満開である。
ああ天下を経綸する手をもって、独り悠然と江湖に向かって釣り糸を垂れている。

太公望の故事を詠ず。
太公望は周建国の功臣。
老年まで貧窮、渭水の畔で釣りする太公望に出会った文王が、共に語り嘆じて曰く、
あなたこそ我が祖父・太公の望んでいた人物に違いない、と。
故に太公望と号す。
周が天下の三分の二を有し、遂には殷を討伐して天下を治めるに至るは、太公望の深謀に由るところ多しという。

備考
#1江湖は「川湖」の意と共に「世間」の意を持つ。
太公望には「志、魚に非らざるなり」といって真っ直ぐな釣り針で釣っていたという伝説があり、漁翁となって仕えるに足る大人物の到来を待っていたという。
補足
1.上声、2.去声、
:去声、
:平声、
:平声、
:平声、
:入声、
:平声、
1.平声、2.平声、
:平声、
:上声、
1.平声、2.上声、
1.上声、2.去声、
:平声、
:平声、
1.上声、2.去声、
1.平声、2.去声、
:上声、
:去声、
1.平声、2.平声、
:平声、
:上声、
:入声、
:去声、
:平声、
:平声、
:上声、
:去声、
:平声、

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