- 備考
- #1子張は孔子の弟子、姓は顓孫(せんそん)、名は師。
干は求なり。
朱氏曰く、
禄は仕ふる者の奉なり、と。(伊藤仁斎「論語古義」) - #2呂氏曰く、
疑とは未だ信ぜられざる所、殆とは未だ安からざる所、と。
尤は過なり。(伊藤仁斎「論語古義」) - #3禄(ろく)其の中に在りとは、人の為に棄て所(られ)ずして衣食自ら給するを謂ふなり。
必ずしも穀を受くるを指して之れを言ふに非ざるなり。(伊藤仁斎「論語古義」) - #4学問に得る者は深くして周(あまね)く、見聞に得る者は近くして実なり。
子張既に学を知る、故に夫子見聞に得る者を挙げて之れを告げたり。
蓋し見聞多ければ、則ち其の智を廣(ひろ)むるに足りて、則(のっと)り傚(なら)ふ所有り。
而(しこう)して亦た必ず疑殆(ぎたい)を闕(か)きて言行を慎めば、則ち外に人の尤(とが)を受くること無く、内に己の悔(く)ひを生ずること無し。
言行に実有りて人の為に之れ信ぜ所(らる)に足らば、孰(たれ)か敢へて服従せざらん、亦た孰(たれ)か敢へて薦引(せんいん)せざらん。
是れ禄の其の中(うち)に在るなり。(伊藤仁斎「論語古義」)