為政10

原文↑↑↑

子曰。
其所以。觀其所由。察其所安。
人焉廋哉。人焉廋哉。

書き下し文↑↑

子曰く、
其の(な)す所を(み)#1、其の(よ)る所を(み)#2、其の(やすん)ずる所を(み)る。#3
(いづく)んぞ(かくさ)んや、人焉(いづく)んぞ廋(かくさ)んや#4、と。#5

現代語訳↑

孔子が言った。
その行動を視、その動機を観、そしてそれを本心から行っているかを察(み)る。
人は意外と自分をみせているものだよ、と。

備考
#1朱氏曰く、以は為なりと。
善を為すは君子為り、悪を為すは小人為り。(伊藤仁斎「論語古義」)
#2観は視に比すれば詳なり。
由は従なり、事に善を為すと雖も(しか)も意の従ひて来たる所の者、未だ善ならざる有るは、則ち亦た君子たるを得ず。(伊藤仁斎「論語古義」)
#3察は則ち又た詳を加ふ、安は楽しむ所なり。
由る所は善と雖も、而(しか)も心の楽しむ所の者、(ここ)に在らざれば、則ち亦た矜持(きょうじ)のみ。
(あ)に能く久しくして変ぜざらんや。(伊藤仁斎「論語古義」)
#4焉は何なり、廋は匿なり。
重ねて言ひて以て深く之を明らかにす。(伊藤仁斎「論語古義」)
#5君の臣に於ける、人の朋友(ほうゆう)に於ける、其の倚頼(いらい)する所甚だ大なり、(えら)ぶ所を慎まざる可からず。
(そ)れ人の知り難きは、堯(ぎょう)(しゅん)も其れ猶(な)(こ)れを(や)めり。
至侫(しねい)は才に似、至奸(しかん)は直に似、諂諛(てんゆ)なる者は忠に似、矜持(きょうじ)なる者は徳に似る。
故に我が明以て之を察するに足らざれば、則ち必ず黒を以て白と為し、(まが)れるを以て(なお)しと為し、小人(しょうじん)を君子(くんし)と為し、君子を小人と為すに至る。
而して政事(せいじ)(ひび)(そむ)き、身は辱められ、国を(うしな)ふ、(おそ)れざる可けんや。(伊藤仁斎「論語古義」)

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