- 備考
- #1朱氏曰く、以は為なりと。
善を為すは君子為り、悪を為すは小人為り。(伊藤仁斎「論語古義」) - #2観は視に比すれば詳なり。
由は従なり、事に善を為すと雖も而(しか)も意の従ひて来たる所の者、未だ善ならざる有るは、則ち亦た君子たるを得ず。(伊藤仁斎「論語古義」) - #3察は則ち又た詳を加ふ、安は楽しむ所なり。
由る所は善と雖も、而(しか)も心の楽しむ所の者、是(ここ)に在らざれば、則ち亦た矜持(きょうじ)のみ。
豈(あ)に能く久しくして変ぜざらんや。(伊藤仁斎「論語古義」) - #4焉は何なり、廋は匿なり。
重ねて言ひて以て深く之を明らかにす。(伊藤仁斎「論語古義」) - #5君の臣に於ける、人の朋友(ほうゆう)に於ける、其の倚頼(いらい)する所甚だ大なり、択(えら)ぶ所を慎まざる可からず。
夫(そ)れ人の知り難きは、堯(ぎょう)舜(しゅん)も其れ猶(な)ほ諸(こ)れを病(や)めり。
至侫(しねい)は才に似、至奸(しかん)は直に似、諂諛(てんゆ)なる者は忠に似、矜持(きょうじ)なる者は徳に似る。
故に我が明以て之を察するに足らざれば、則ち必ず黒を以て白と為し、枉(まが)れるを以て直(なお)しと為し、小人(しょうじん)を君子(くんし)と為し、君子を小人と為すに至る。
而して政事(せいじ)日(ひび)に非(そむ)き、身は辱められ、国を亡(うしな)ふ、懼(おそ)れざる可けんや。(伊藤仁斎「論語古義」)