述懐(山田方谷)

山田方谷十四歳の時に詠じた詩。
幼少より学問を励ましてくれた母が亡くなり、師の丸川松陰にその志を問われて詠んだという。

漢詩形式
  • 1.古詩
分類
  • 1.漢詩

原文↑↑↑

父兮生我母育我  天兮覆吾地載
身爲男兒宜自思  苶苶寧與草木
慷慨難成済世業  蹉跎不奈隙駒
幽愁倚柱獨呻  知我者言我念
流水不停人易老  鬱鬱無緣啓胸
生育覆載眞罔極  不識何時報此

  
  
  
  
  
  

書き下し文↑↑

父や我を生み母や我を育つ、#1天や吾を覆ひ地や吾を(の)す。
身は男児たり宜しく自ら思ふべし、苶苶(でつでつ)なんぞ(とも)にせん草木の枯れるを。
慷慨(こうがい)成し難し済世(さいせい)の業、蹉跎(さた)いかんともなせじ隙駒(げきく)の駆けるを。
幽愁(ゆうしゅう)柱に(よ)り独り呻吟(しんぎん)す、我を知る者は言ふ我が念深しと。
流水(とど)まらず人老い易し、鬱鬱(うつうつ)(よ)る無し胸襟(きょうきん)(ひら)くを。
生育(せいいく)覆載(ふうさい)真に極まりなし、(し)らず何の時か此の心に報いん。

現代語訳↑

父母は私を生育し、天地は私を覆載(ふうさい)してくれる。
だから男児として生まれた身なればこう思うべきなのだ、どうして茫然として草木の枯れると同じくしようか、と。
心は昂ぶるばかりで済世(さいせい)の事業は成し難く、志を得ないまま月日はあっという間に過ぎてゆく。
深き憂いを柱の陰で独り呻吟(しんぎん)すれば、私を知る者はいう、考えすぎなのだ、と。
だが水の流れは止まらず人の老いもまた待つことはない、それを思うと私の心は鬱蒼として沈んでしまうのだ。
でも天地万物の本質は真に極まり無し、されば自然とこの心に報いる時がくるのだろう。

備考
#1父兮生我は詩経・蓼莪篇。生は生(そだ)つとも訓ず。
補足
:上声、
:平声、
1.平声、2.去声、
:上声、
1.平声、2.上声、
:入声、
:上声、
:平声、
:平声、
1.去声、2.入声、3.入声、
1.平声、2.平声、
:去声、
1.上声、2.去声、
1.平声、2.平声、
:平声、
1.平声、2.去声、
:平声、
1.平声、2.平声、
:平声、
:去声、
1.平声、2.去声、
1.入声、2.入声、
1.入声、2.入声、
:平声、
1.平声、2.上声、3.去声、
:上声、
:入声、
:平声、
:上声、
:去声、
1.平声、2.去声、
:平声、
1.上声、2.去声、
1.去声、2.平声、
:入声、
:平声、
:平声、
1.平声、2.上声、3.入声、4.入声、5.平声、
1.去声、2.去声、
:入声、
:平声、
1.平声、2.去声、
:平声、
:平声、
1.上声、2.去声、3.平声、
:上声、
:入声、
:平声、
1.平声、2.去声、
:平声、
:上声、
:上声、
:平声、
:上声、
:去声、
1.平声、2.去声、
:平声、
:上声、
1.平声、2.上声、3.入声、4.入声、5.平声、
1.平声、2.平声、
:平声、
1.去声、2.入声、
:上声、
:入声、
:入声、
:平声、
1.平声、2.去声、
:上声、
:平声、
:平声、
1.平声、2.去声、
:入声、
1.去声、2.入声、3.入声、
1.上声、2.去声、
:平声、
:上声、
:入声、
1.平声、2.上声、3.入声、4.入声、5.平声、
1.去声、2.入声、
1.平声、2.上声、
:平声、
:去声、
:上声、
:平声、

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