第十四章
原文
君子素其位而行。不願乎其外。
素富貴行乎富貴。素貧賤行乎貧賤。素夷狄行乎夷狄。素患難行乎患難。
君子無入而不自得焉。
在上位不陵下。在下位不援上。正己而不求於人。則無怨。
上不怨天。下不尤人。
故君子居易以俟命。小人行險以徼幸。
子曰。
射有似乎君子。失諸正鵠。反求諸其身。
書き下し文
君子(くんし)は其(そ)の位(くらい)に素(そ)して行(おこな)ひ、其(そ)の外(そと)を願(ねが)はず。
富貴(ふうき)に素(そ)しては富貴(ふうき)に行(おこな)ひ、貧賤(ひんせん)に素(そ)しては貧賤(ひんせん)に行(おこな)ひ、夷狄(いてき)に素(そ)しては夷狄(いてき)に行(おこな)ひ、患難(かんなん)に素(そ)しては患難(かんなん)に行(おこな)ふ。
君子(くんし)入(い)るとして自得(じとく)せざる無(な)し。
上位(じょうい)に在(あ)りて下(しも)を陵(しの)がず、下位(かい)に在(あ)りて上(かみ)を援(ひ)かず、己(おのれ)を正(ただ)しうして人(ひと)に求(もと)めざれば、則(すなは)ち怨(うら)み無(な)し。
上(かみ)天(てん)を怨(うら)みず、下(しも)人(ひと)を尤(とが)めず。
故(ゆえ)に君子(くんし)は易(やす)きに居(お)りて以(もつ)て命(めい)を俟(ま)ち、小人(しょうじん)は険(けん)を行(ゆ)きて以て幸(さいは)ひを徼(もと)む。
子曰く、
射(しゃ)は君子(くんし)に似(に)たる有(あ)り、諸(これ)を正鵠(せいこく)に失(うしな)へば、反(かへ)りて諸(これ)を其(そ)の身(み)に求(もと)む。